名市大眼科 研究室だより

第66回日本臨床眼科学会印象記

10月25-28日京都の国立京都国際会館及びグランドホテル京都で、第66回日本臨床眼科学会(臨眼)が開催されました。私自身が京都の国際会館で開催される学会に出席するのは2005年の日本眼科学会総会(日眼)以来でした。日眼、臨眼、手術学会などの全国学会は毎年規模が大きくなる一方な印象で、今回も国際会館だけでなく、隣接するグランドプリンスホテルも会場になっていました。自分の聞きたい講演やインストラクションコースの取り方によっては1日になんども、2つの会場を行ったり、来たりせねばなりませんでしたが、幸い恵まれた天気と10月下旬の京都という状況で、案外楽しみながら行ったり来たりしました。

今回の学会の特別講演(招待講演)のひとつがアメリカで活躍されているHinton教授の「胚性幹細胞(ES細胞)由来の網膜色素上皮細胞の加齢黄斑変性治療への応用」でした。つい先日人工多能性幹細胞(iPS細胞)の発明で山中伸弥教授がノーベル賞を受賞され、理化学研究所の高橋政代先生が中心となって進められている加齢黄斑変性にたいしてのiPS細胞由来の網膜色素上皮移植の展望が大きく報道されたこともあり、メインホールがいっぱいになっていました。(山中先生ご自身も2年前、神戸で開催された臨床眼科学会で招待講演をされたのですが、そのときも会場がいっぱいで、となりのサテライト会場で講演を聴いたことを思い出しました)自分のもっとも興味ある分野で、勉強しているにもかかわらず、話について行くのが精一杯でしたが、座長の坂本先生もコメントされておられたように技術面もさることながら、プロジェクトとして成功させるための体制が整っていることに感心しました。

全国学会はこのように「大物」のお話が聞けることも大きな楽しみですが、全国学会しかも、眼科全般における学会であることから、普段ではなかなかあうことのできない人たちと会えることも楽しみの一つです。今回も、以前留学していた先で一緒だった友人や、同期、大学時代の先輩(今回の学会ではこっそり大変お世話になってしまいました)などと久々にあうことができました。なかでも今回の一番の再会は、ちょっとした偶然が重なって知り合いになることができ、今とても尊敬している先生とゆっくりお話ができたことです。その先生との出会い(正確にはであってもいませんでした)は7年以上前にさかのぼり、実際にお会いしたのは4年前夫の留学について行っていたロンドンでした。研究所のロビーで初めてお会いしたとき、その実績と肩書きから想像できないくらいチャーミングな方でびっくりしたこと、そのときに以前教授から「えっ?先生と同じぐらいの年齢じゃないの?」と言われたことにすごく納得がいったことなどが昨日のように思い出されます。帰国後、本格的に加齢黄斑変性を勉強するようになって、面識のある先生から同じ領域を専門とする尊敬する先生にかわっていきました。今回先生から、加齢黄斑変性を勉強され始めた頃、指導者がおらず、良いテキストもなく、独学のような状態で苦労されたこと、まだ確立した治療法がなかったこと、地域で初めて光線力学療法(PDT)を導入されたとき眼底が見にくくて大変苦労されたことなど貴重なお話を聞くことができました。検査機器の進歩で確定診断が可能になり、ある程度確立され選択の幅も出てきた治療法があり、なにより身近に指導者がいるなかで加齢黄斑変性と向かい合っている私にはない多くの苦労でした。そんな先生に「頑張って」と言われてなんだかとても頑張れるような気がしました。IT化の時代、必要な情報はその気になればほとんど手に入れることができます。それでも人のつながりっていいな、と改めておもった学会でした。

担当:助教 加藤亜紀
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