名市大眼科 研究室だより

第70回日本臨床眼科学会

2016年11月3日から6日までの4日間、国立京都国際会館にて第70回日本臨床眼科学会(臨眼)が開催されました。臨眼は日本の眼科の学会では演題数、参加人数とも最大規模の学会であり、他の学会にはいかなくても臨眼には行く、という方々も多く存在します。今回は学会長が小椋祐一郎教授、事務局長が私、ということで、私たち名古屋市立大学が運営を任されました。このような大規模な学会を運営することは大変名誉なことでもありますが、いっぽう責任も重く、準備・運営にもいろいろ苦労はありました。お話ししたいことはたくさんありますが、掲載スペースの都合もありますので、ここでは手短に本学会のエッセンスのみをご紹介したいと思います。

今回の学会を一言でいえば、「こだわりの学会」だったといえるのではないか。「こだわる」ということは妥協を排し、より良いものを作り上げるために多くの手間暇をかけること、ではないかと思っている。たとえば、本学会の目玉として、小椋会長の発案によって学会初日に開催された“World Retina Summit 2016 ”という国際シンポジウム(シンポジウム=一つの問題について何人かが異なる面から意見を述べ合い、質疑応答をくりかえす形の討論会)はいい例であろう。網膜の分野における一流の研究者を国内から10名、海外から10名の計20名招聘し、ホットなテーマについて討論をしてもらったこの企画は練りに練ったものであり、本学会参加者にとって本当にエキサイティングなものであっただろう。“Late Breaking Session”も見逃してはならない。これも今学会が初めての試みであり、通常の演題締め切りを1か月半延長し、より新しい研究を発表してもらうための企画である。海外からの3演題を含む20の演題が採用されたこの企画では、まさに今とれたての世界最新の研究に触れ、眼科学の進歩を実感できたはずである。まさに、小椋会長のこだわりの両企画であった。

このように斬新な企画もあり、恒例の特別講演2題、海外からの招待講演2題をはじめとしてシンポジウム20, インストラクションコース59、一般講演777は質・量ともに過去最高といえるもので、こちらは日本眼科学会プログラム委員会、特に本年度委員長の門之園一明先生(横浜市立大学)のこだわりの詰まったものであった。この膨大なプログラムを査読し、厳選していただいたプログラム委員の先生方の労力はいかばかりかと感謝のみである。それをいかに魅力的に、演者の重複もなく、参加者に快適なように組み上げるかというのは、私に与えられた仕事であったが、まさに難解なパズルを解くような、困難な作業であった。

小椋会長こだわりのプログラムを何とかいい形に収めたいと思い、締切期限の迫る中、連休を返上して作業に当たり、私なりにこだわったプログラム編成を組み上げた時は安堵の思いであった。

小椋会長のこだわりは参加者へのおもてなしにも表れている。京都の秋を感じてもらえるようにと小椋会長自ら厳選した京都伝統スイーツ(今宮神社のあぶり餅、上賀茂神社の焼き餅、下賀茂神社のみたらし団子)を連日提供した。特にあぶり餅はお店の方が学会場まで出張してその場で炭火の焼きたてを提供してもらうというこだわりようで、もちろん大好評であった。会場での移動・休憩時間に会場内に音楽を流したのも本学会が初の試みであった。講演が始まるのを待つ間、音楽で心和ませるのも参加者にはいい気分転換になったのではないか。流れていたのは小椋会長お気に入りのボブ・ディランとビートルズであったのにはお気づきになられただろうか。土曜日の夕方には全体懇親会を兼ねた「チーズとワインの夕べ」で小椋会長自らワイン片手に参加者と歓談する姿がみられた。さらに会長招宴(学会長が学会への貢献者を招待する食事会)では、小椋会長の斬新かつ茶目っ気たっぷりのこだわりのおもてなしの数々に、会場はあっけにとられたことだろう。会長招宴では教室の野崎講師もこだわりの和服姿を披露し、参加者の注目を集めた。会長招宴での私のこだわりは教室員全員を招待してもらい、小椋教授の晴れの場を教室員全員で祝福することであった。会場の収容人数の都合で危ぶまれたが、会長の配慮によりその願いが叶えられ、皆の笑顔を見られた時はうれしかった。

また、学会場で参加者に配布されたコングレスバッグ(学会資料を入れるための手提げ袋。学会ごとに材質やデザインが異なり、楽しみにしている参加者も多い)は教室の秘書をはじめとする女子たちがこだわり抜いてデザインを決めたものである。大好評で学会期間中は京都中でこのバッグを持つ人が多数見かけられたと聞いている。

さて、このようにこだわりを持って行われた今回の学会であるが、ありがたいことに学会初日から盛況で、最終日の最後のセッションまで多くの参加者に詰めかけていただき、8,509名という、臨眼歴代最高の参加登録数を記録することができた。記録もうれしいが、記録よりも参加者の記憶に残る学会となってもらえれば、無上の喜びである。

手前味噌なことばかり書いてしましましたが、この学会にかけた私たちの熱い思いを感じ取っていただければ、と思います。よい学会にできるよう、教室員全員、精一杯頑張りました。もっとも実際には至らないところも多々あった学会運営だったと思います。ご迷惑・ご不便をおかけした方々にはこの場をお借りしてお詫び申し上げます。また、関係者の皆様方の多大なるご指導・ご協力を得まして、大きな事故もなく無事に学会を終えることができましたことをここに厚く御礼申し上げます。

会う人会う人から「大変ですね」「頑張ってください」「おつかれさま」とねぎらいのお言葉をいただき、とてもうれしかったです。ありがとうございました。

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担当:吉田 宗徳(病院教授・眼科副部長)
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