先輩からの声 Vol.011

Vol.011 学会印象記「2010 Club Jules Gonin学会(京都)」

文責
安川 力
所属
名古屋市立大学病院 准教授
掲載日
2012年2月1日

平成22年11月4日~6日にかけて、京都にて開催されましたClub Jules Goninの2年に一度の学会に参加いたしました。この学会は、網膜剥離が裂孔原性であることを見出し、現在の網膜復位術の基礎となる治療概念を提唱したJules Gonin(ゴナン)の功績を称えて1959年に設立された網膜硝子体分野の会員制の学会です。4回連続の参加となりました。これまで、ギリシャ(アテネ)、南アフリカ(ケープタウン)、スイス(サンモリッツ)で開催された本学会では、会員であるドイツ・ライプチヒ大学留学時のボスのビーダマン教授の推薦ゲストとしての参加でしたが、今回は、学会会員になるためのCandidateとしての参加で、しかも、最終日の口頭発表でしたので、会期中、緊張感でいっぱいでした。学会会員になるには、まず3人の会員の推薦によりCandidateに認定してもらい、学会での発表に続き、論文発表を行った後の審査で承認される必要があります。国内の会員の顔ぶれは、肩書きが教授の先生ばかりで、まだまだ身分不相応で引け目を感じずにはいられませんが、ビーダマン教授とスイスのベルン大学のウルフ教授、そして、小椋教授のご配慮で、Candidateにしてもらえたことは非常に光栄なことです。京都での開催は、故・田野保雄先生による平成18年開催の南アフリカでの学会の際の精力的な招致活動の結果、実現したもので、田野先生に代わって、本学会の成功のために、九州大の石橋教授、香川大の白神教授、小椋教授を中心に、力を合わせて、事務側の陣頭指揮、パーティーの司会、余興にまでご尽力されていたことが印象深かったです。

今回は、追加データも含めて、「in vitroドルーゼンモデルとしての網膜色素上皮(RPE)細胞の3次元培養」について発表しました。RPE細胞は通常の培養皿での培養では継代するにつれて脱分化して線維芽細胞のような形態に変化していき、RPE本来の機能を調査する上では初代培養のものしか使用できませんでした。我々は、粘性を持たせた培養液で丸底培養皿を用いてRPE細胞を培養すると、1つの球状塊となり、面白いことに内部は速やかにアポトーシスを起こし、表面に一層の上皮を形成することを見いだしました。上皮は外側を基底部側とし、すなわち表面にブルッフ膜まで形成されます。さらには時にドルーゼン様の沈着物が表面に出現します。ちょうどソルトレーク冬期五輪も大詰めの2002年2月22日の夕方にライプチヒの研究室で培養していたRPE細胞の球体からモコモコとドルーゼン様の沈着物が出現する瞬間を目撃した感動を今も忘れません。当時は何が見えているのか全くわからないという所から研究が始まったので、それからもう9年も経ちましたが、ようやくRPEの生理機能の秘密がわかってきて論文発表の準備を進めているところです。

海外、国内の著名な先生とも交流を深めることができ、最新の知見が得られるこの名誉ある学会に参加できることは、非常に貴重な経験です。今後も機会ある限り、参加したいと思います。そのためにも、眼科医療の発展に貢献できるよう、日々、研鑽を積んでいきたいと思います。

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