先輩からの声 Vol.029

Vol.029「近況報告とこれまでを振り返って」

文責
臨床研究医 長谷川 典生
所属
名古屋市立大学病院眼科
掲載日
2013年10月2日

今年7月から臨床研究医として名古屋市立大学病院に勤務しております長谷川典生と申します。
このたびホームページに記事を書かせていただくことになりましたが、ここ最近は特に学会などに参加もしておりませんので、今回は眼科入局後の約3年半を振り返りつつ、近況について書かせていただこうと思います。

初期臨床研修を終え、名古屋市立大学眼科に入局したのは3年前の4月でした。
最初の1年間を大学病院でシニアレジデントとして勤務した後、豊田市にある豊田厚生病院に2年と3ヶ月赴任しておりました。

振り返ると、シニアレジデントの1年間は眼底もまともにみられないような状態から始まりました。しかしながら、先輩の先生方に丁寧にご指導いただき、診察技術や知識、そして眼科の楽しさを学ぶことができました。1年間の後半には、白内障手術を執刀させていただけるようになり、最終的には大学病院では3件執刀することができました。
豊田厚生病院では自分の外来を持ち、午前中は毎日30人ほどの外来患者を診察しました。外来が終わると午後には手術やレーザーなどがあり、毎日がとても濃密な日々でした。600床を超える豊田市の基幹病院の一つでありましたので、手術症例に恵まれ、部長の芦苅先生のご指導のもと2年3か月の間に白内障手術を400件以上、硝子体手術も30件ほど執刀することができました。

そして今年の7月、臨床研究医として大学病院に戻って参りました。
久しぶりの医局、外来、病棟はなんだかとても懐かしく、シニアレジデントの頃を思い出させてくれました。
しかし、今度はシニアレジデントの頃とは大きく違う点があります。私は昨年4月に大学院に入学したため、現在大学院2年生という学生の身分でもあるのです。そのため、ただ病棟や外来での患者さんの診察や手術をするだけではなく、論文を書くために研究をしなくてはなりません。
現在は野崎先生、平原先生にご指導いただき、実験の手技を学んでおります。マウスを使った動物実験なのですが、これまでマウスなんて触ったことなどありませんので、マウスの扱い方から教えていただかなければならない状態でした。最初はマウスの保持の仕方、麻酔の掛け方、眼球の摘出とその眼球の処理などの手技を教えていただきました。
マウスをただ保定するだけでも最初は一苦労で、気を抜いていて何度も噛み付かれそうになりました。
その他にも脈絡膜新生血管を発生させるためにマウスの網膜に対してレーザーの照射を行いました。マウスの眼球は直径5mmにも満たないような小ささですが、そんな小さな眼球に人間に使用するものと同じ型の機械でレーザーしていきます。一週間後、新生血管の確認のため眼底造影を行いました。これも人間の眼底造影で使用するのと同じ造影剤を用いて行います。すると小さなマウスの小さな網膜の造影写真が撮れました。撮れた写真はとてもきれいに造影されており、そこには期待通りの脈絡膜新生血管が発生していました。
別にたいしたことではないのであろうとは思いますが、そのときとてもうれしく感じたのを覚えています。少し大げさかもしれませんが、初めて白内障手術をやりきったときのような感覚でした。
研究のことはまだまだ何も分かっていない若輩者ですが、そのとき研究の楽しさの一端をみたように感じました。時間をかけて行った実験で自分の仮説や期待の通りの結果がでるということが研究者としての喜びなのだろうと思いました。

今はこのような手技を学ぶことも大事ですが、頭も使わなくてはなりません。臨床にも通じることだと思いますが、様々な論文や文献を読んで知識をアップデートし、自分の研究に生かしていくことが必要になります。私はこれまで頭を使うことを怠っていた部分があったと自覚しておりますので、その辺りも含めてこれからはより一層頑張っていきたいと思っております。

msg029_1
[実験風景]

[先輩からの声 TOPへ戻る]