視覚科学ラボ -研究室だより Vol.020-

【研究室だより】「留学体験」

文責
小椋俊太郎(留学中)
掲載日
2018年5月9日

2017年5月からアメリカ東海岸、メリーランド州ボルチモア市にあるJohns Hopkins大学の Wilmer Eye Instituteに留学をしております。メリーランド州はワシントンD.C.の北側に位置しており、ボルチモアからD.C.までは車で1時間強、ニューヨークのマンハッタンまで3時間半程のロケーションで、週末などに日帰りで訪れるというのが一般的です。

留学先のLuttyラボではポスドクは現在私一人であり、培養細胞実験からラットの硝子体内や網膜下注射など私が主として全て熟しています。最近は委縮型黄斑変性における脈絡膜の肥満細胞の関与をメインテーマに研究を行っております。脈絡膜は網膜ほど研究対象となっておらず、非常に面白い分野であると感じています。今年のARVOでは動物モデルの肥満細胞における薬剤効果を検討した発表を行いました。これまでよい治療方法のなかった委縮型加齢黄斑変性に対し、新規治療法の開発することを目標に研究に取り組んでおります。またARVO中に医局の先生方にお会いできとても有意義の一時を過ごささせて頂きました。改めて感謝申し上げます。まだ日本を離れてたったの一年ですが、すでに浦島太郎になった気分でした。笑

ラボのあるWilmer Eye Instituteは6階建ての建物全てが眼科研究室で構成されており、角膜を扱う研究室からナノパーティクルをテーマとした研究室まで分野は多岐に渡り、幅広く研究しています。実験用の手術台やZeiss手術顕微鏡、動物施設が眼科専用にあるなど設備が整っている反面、共焦点顕微鏡などの機器類は共用で、予約が数週間先まで埋まっており、大学院の植村研でいつでも使用できた環境がいかに恵まれていたかを最近痛感しています。

Johns Hopkins大学医学部は全米屈指の名門校として広く知られている反面、ボルチモアは全米屈指の治安の悪さでも有名で、渡米前にウェブで検索をしても街全体がハザード地域に指定されており非常に心配していました。実際には、これまでに特に危険には遭遇しておりません!が、夕方薄暗くなってからのバスと地下鉄の乗り継ぎはやはり身構えてしまいます(とはいうものの、これは全米どこでも同じだとは思いますが…)また大学内の連絡メールでキャンパス周囲の発砲、強盗事件のアラートなども時々流れてきます。新入職者向けのオリエンテーションで銃所持者に遭遇した場合などの対処法の必須受講講座があったことには驚きました。一方で、ショッピングモールなどで少し子供から目を離しただけで店員さんや周りの方に注意されるなど誘拐などの犯罪を地域全体で防止するように徹底されています。気が緩んだ時こそ何かが起こるかも知れないと日々気を引き締めてるようにして生活してはいます。

住居はキャンパスのあるダウンタウンではなく、留学生家族が多く住む郊外のアパートメンツを選びました。僕が住んでいるアパートメンツは現在7組の日本人研究者の家族が入居しており、時々バーベキューなどを行って情報共有をしています。妻は現地人の友人もでき、娘たちを連れて一緒に地域の行事などに参加したりして楽しんでいるようです。長女は最近は家でも英語も話すようになって、子供達の順応の高さに驚いています。

渡米後1年を経てアメリカでの文化の違いにも家族共々慣れ、研究にも打ち込めるようになってきました。何とかよい結果を残せるように頑張っていきたいです。留学の機会を下さった小椋教授始め、医局の先生方に深く御礼申し上げます。


大学病院、職場であるWilmer Eye Institute


ARVOで名市大からの参加者と食事会

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