視覚科学ラボ -受賞報告 Vol.003-

【受賞報告】
平成19年度瑞友会(名古屋市立大学医学部同窓会)賞 を受賞して

文責
野崎 実穂
所属
名古屋市立大学眼科
掲載日
2011年5月31日

このたびは、同窓会賞を賜りまして、ありがとうございました。受賞をとても光栄に思いますとともに、第一回ということの重みに身も引き締まる思いです。今回の受賞にあたり、ご指導下さいました諸先生に心よりお礼申し上げます。

私は、平成5年に名古屋市立大学医学部を卒業し、眼科学教室に入局しました。入局後、ずっと名古屋市立大学病院一筋(?)でしたが、平成16年から約2年間、米国ケンタッキー大学へ留学させていただきました。今回、受賞の研究は、留学中に行った『角膜の無血管性は可溶型flt-1による』という以下の内容のプロジェクトでした。

角膜はなぜ透明か?今までその謎は解明されていませんでした。血管新生の立役者である血管内皮細胞増殖因子(VEGF-A)が角膜内にも存在していることがわかり、そのほとんどが結合型でした。そこから、我々は角膜内のVEGF-Aは可溶型VEGF receptor-1(sflt-1)と結合していること、そのため角膜は無血管を保っているのではないかと仮設をたてました。マウスの角膜でsflt-1を抑制すると、角膜は新生血管に覆われることを明らかにし、自然界に存在している、角膜に元々新生血管のある動物(フロリダマナティ)についても、その角膜内にsflt-1が存在していないことを明らかにしました(マナティの眼を解剖するとは思ってもみませんでした)。そして、これらの結果は幸いにも2006年にNatureに掲載されました。

近年、眼科領域では、加齢黄斑変性症が、中途失明原因の上位になってきており問題となっています。加齢黄斑変性も、元来無血管である網膜中心窩に新生血管ができる病気ですが、その病態は完全には解明されていません。この賞をいただいたことを励みに、加齢黄斑変性の病態解明さらには新たな治療法の確立に一歩でも近づけるようにと願っています。

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