視覚科学ラボ -研究室だより Vol.001-

【研究室だより】
前房水中のVEGF(血管内皮増殖因子)のサブタイプの局在について

文責
平原 修一郎
所属
名古屋市立大学眼科
掲載日
2011年5月31日

すでに皆様もご存じのように、VEGFは血管内皮細胞の分裂や遊走、分化を刺激したり、微小血管の血管透過性を亢進させたりする働きをもつほか、単球やマクロファージといった炎症に係る細胞の活性化にも関与しています。正常な体の血管新生に関わるとともに、腫瘍の血管形成や転移など、悪性化の過程にも係わっています。VEGFにはいくつかのアイソフォームがあり、眼内に存在する主要なVEGFは、VEGF121とVEGF165があります。VEGF121もVEGF165も眼内で様々な働きをしており、VEGF165は病的作用との関わりが強く、一方、VEGF121は神経保護などの生理的作用との関わりが強いことが知られています。

抗VEGF薬が臨床的に使用されるようになり、VEGF121の生理的作用である神経保護作用を阻害し、視神経に悪影響をおよぼすことも考えられます。私は今、生理的な視神経保護作用が眼内に働いていると想定される、緑内障患者や高眼圧モデルマウスなどの前房水中のVEGFのサブタイプの局在をウエスタンブロット、ELISA、PCRを使い、研究を行っております。

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