視覚科学ラボ -研究室だより Vol.003-

【研究室だより】
PASCAL® Laser Photocoagulation Induces Less VEGF Expression in Murine Retina Than Conventional Laser Treatment

文責
伊藤 愛子
所属
名古屋市立大学眼科
掲載日
2011年5月31日

眼内新生血管グループは、櫻井先生が医局を退職された後も実験を続け、2009年度は、平野先生がPASCAL»を用いた光凝固後のVEGF発現量について調べ、2つの学会で研究結果を報告されました。2007年に、板谷先生が網膜光凝固後の早期にVEGFが過剰に発現することを報告されましたが(Itaya M et al.: Upregulation of VEGF in murine retina via monocyte recruitment following scatter retinal laser photocoagulation. Invest Ophthalmol Vis Sci 48, 5677-83, 2007)、この実験は、最近開発されたPASCAL®ではどうなのか、通常凝固と比べ検討したものでした。

僭越ながら少しご紹介申し上げますと、マウスに対し、マルチカラーレーザー(532nm)とPASCAL®(532nm)でそれぞれ光凝固し、1、3、7日目の網膜と網膜色素上皮‐脈絡膜のVEGF量を測定したところ、PASCAL®では、全期間で網膜、網膜色素上皮‐脈絡膜、ともに有意な上昇は認められなかったのに対して、通常凝固では1日目の網膜と、1、3日目の網膜色素上皮‐脈絡膜でVEGF量がコントロールより有意に上昇していました。つまり、PASCAL®は通常凝固と比較し、光凝固後のVEGFの発現が少なく、汎網膜光凝固後の黄斑浮腫の発生率も少ない可能性があります。

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