視覚科学ラボ -研究室だより Vol.004-

【研究室だより】実験室だより

文責
新井 根一
所属
名古屋市立大学眼科(大学院)
掲載日
2011年5月31日

2009年4月より、安川准教授のグループに所属させていただき実験をさせていただいております。院生ではありますが、実験といっても学生時代はほとんど参加せずグループの優秀なメンバーにお任せ、といったことをしていましたので基礎中の基礎から全くわかっていませんでした。そのため多くの先生方にご指導いただいたりお力を借りることになり、大変にお世話になりました。

当初はマウスに光凝固にてCNVを発生させ、それに対するドラッグデリバリー効果をみる実験を始めましたが、眼内への投与や確認の難しさからウサギでの実験へと変更しました。結局まずはウサギにおいて血管新生を誘発させるモデル作りから開始しました。方法としてはbasicFGF(Basic fibroblast growth factor)をゼラチンと架橋させ薄いシート状に加工し、同物質を網膜上に付着させました。ウサギは視神経乳頭から血管が直線状に伸びており、そこから無血管野に置いたbasicFGF含有ゼラチンシートへ血管新生を誘発させようというものです。方法だけみると簡単そうですが、これが非常に苦労しました。安川准教授、高瀬助教とアルコン社のウェットラボにて行いましたが、まず第一の方法として、25ゲージで硝子体切除をしてその後にゼラチンを入れることを試みましたが、ゼラチンシート自体がカニューラに一塊としては入りませんでした。次の方法としては硝子体を切除せずに角膜切開で水晶体切除を行い、角膜創部からシートを入れることを試みました。ウサギの特性上これもかなり苦労して水晶体除去し、切開創からシートを挿入しましたが、これも目標の位置まで持っていくまでにすぐに光彩や他の部位の網膜に張り付いてしまい失敗しました。試行錯誤の末に、粘弾性物質の先端に18G針を付けその先端の中にゼラチンシートを入れておき、同針を穿刺して目標の網膜上まで先端を持っていったところで粘弾性物質を押し出すとゼラチンシートが目標の網膜上に針先から出てきて付着してくれました。こうして、作成したモデルで乳頭付近の網膜血管からゼラチンシートまで伸びる血管新生と思われる変化を確認することができました。余談ですが、失敗して虹彩に張り付いたモデルでは著明なiris rubeosisを、port付近の網膜に大量に張り付いたモデルではまるでPDRのような増殖膜の発生をみることができました。次の実験として、先ほどのゼラチンシートを用いてt-PAによる血管新生抑制効果を確認する実験を行い、結果としては非常に良好な結果を得ました。少し中断しておりますが、今後はnを増やして、結果をまとめていく予定です。

自分のような俗人にはアカデミックなことは縁がないのではと思っていましたが、英知溢れる先生方からせっかく与えていただいたチャンスですので、チャレンジの心で今後も取り組んでいきたいと思います。

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