視覚科学ラボ -研究室だより Vol.006-

【研究室だより】「大学院生活を終えて」

文責
水谷 武史
所属
ケンタッキー大学(2013年4月~)
掲載日
2013年8月1日

この度、平成25年2月に学位審査を受け、学位(医学博士)を取得させて頂きました。学位取得にあたり、ご指導下さいました、小椋祐一郎教授、教室の先生方、スタッフの皆様、そして直接ご指導下さいました、松原明久先生、野崎実穂先生に、この場をお借りして心からお礼を申し上げます。

私は、平成19年に当眼科に入局、その翌年の平成20年に外病院赴任と同時に大学院生になりました。その年の5月にフロリダで催された学会に参加した際の会食時に、小椋教授から最初の研究テーマを頂きました。「アポトーシス伝達経路を構成するCaspase2のsiRNAの網膜神経保護効果の検討」というもので、ラットを使用して網膜虚血再灌流モデルを作成、薬剤を硝子体内へ注射して、その後に網膜厚の肥厚の程度や網膜神経細胞節を調べました。週に1、2日くらいの頻度で、外病院での日常診療が終わった後に大学に移動して大学院の授業を受け、実験を進める、といった生活が始まりました。当時は動物の扱いも不慣れで、松原先生の指導のもと、同期の植田先生と共に試行錯誤しながら、実験を進めました。夜疲れてきたときには雑談に花を咲かせて睡魔を吹き飛ばすなんてこともありました。同期の存在というのは本当にありがたいものです。

大学院3年目になる頃2つ目の研究テーマを頂きました。「CCR3拮抗剤によるレーザー誘発脈絡膜新生血管の抑制の検討」というもので、野崎先生指導のもと、マウスを使用して脈絡膜新生血管モデルを作成、薬剤を硝子体内へ注射し、脈絡膜新生血管の体積、血管からの漏出、血管内皮増殖因子タンパクおよびmRNAレベルの発現などを検討しました。この研究をまとめた論文がInvestigative Ophthalmology Visual Scienceに掲載が決まり、学位審査まで辿り着くことができました。野崎先生には実験計画から、論文作成に至るまで、丁寧にご指導いただき、また医局専属technicianの加藤さんには追加実験の不慣れな手技に関してご指導いただきました。また学位審査の申請が締め切りぎりぎりになってしまい、本来なら自分ひとりですべきコピー作業などを医局の秘書さんに手伝って頂き、なんとか無事審査を受ける事ができました。お世話になったみなさんに感謝の気持ちで一杯です。

眼科医として働き始めた当初、身につけなければならない知識、手技も多く、臨床に費やす時間がとても魅力的で、なかなか研究に本腰を入れることが難しく感じたのを覚えています。それでも、多忙な日常診療と研究を両立させている医局の先生方のバイタリティーに刺激を受けながら過ごす中で、自分なりにその動機付けができるようになりました。今年4月よりケンタッキー大学に留学する機会を頂いています。基礎研究をしていると、より臨床や臨床研究への興味も大きくなるのが不思議です。あることを深く理解しようとすることで、かえってその全体像がみえてくることもあると実感しています。大学院生生活で得た経験を日常診療に活かせるように、広い視野と好奇心を持ち続けたいと思います。


[実験室にて]

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