視覚科学ラボ -研究室だより Vol.008-

【研究室だより】「網膜血管生物学寄附講座」

文責
植村 明嘉
所属
名古屋市立大学病院 網膜血管生物学寄附講座
掲載日
2014年5月1日

平成26年4月から、名古屋市立大学に網膜血管生物学寄附講座が設置されました。本講座では、網膜血管に異常をきたす眼疾患、とくに糖尿病網膜症の病態を解明し、新たな治療法を開発することを目的に研究を進めていきます。

糖尿病網膜症では、血管透過性亢進に伴う網膜浮腫と、網膜虚血に伴う血管新生が視機能低下の原因となります。いずれの病態もVascular Endothelial Growth Factor(VEGF)が関与するため、抗VEGF薬の眼内投与療法が一定の治療効果を上げています。しかし抗VEGF療法が奏功しない場合も多く、新しい創薬開発が待望されています。

薬を開発するためには、病気が発症し、進展するメカニズムを細胞・分子レベルで明らかにする必要があります。しかし高血糖をきたすマウスやラットではヒト網膜症を再現することができないため、これまでは糖尿病網膜症の病態解明がなかなか進みませんでした。一方、私たちはマウス網膜毛細血管のペリサイトを剥がすことにより、糖尿病網膜症に類似した血管異常を再現することに世界で初めて成功しています。この糖尿病網膜症モデルマウスと、名古屋市立大眼科が培ってきた研究技術を組み合わせることによって、教科書を書き換えるような新しい概念を提唱し、創薬標的分子の同定にまでたどり着きたいと考えております。

若い眼科医の皆さんにとっては、「研究」というと敷居が高いと感じるかもしれません。しかし、普段の診療で抱く素朴な疑問(「同じ血糖値でも網膜症の進行に個人差があるのはなぜか?」など)があれば、自分なりの仮説を打ち立てて研究を開始することができます。興味のある方は、是非ともご連絡下さい。

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