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視覚科学ラボ研究室だより

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学会参加記 一覧

2023年1月19日

第76回日本臨床眼科学会を終えて

担当 桑山 聡志 (臨床研究医)

2022年10月13日(木)から4日間にわたって行われた第76回日本臨床眼科学会(東京国際フォーラム・JPタワー)にて学会発表を致しましたので、ご報告させていただきます。未だコロナ禍のため現地開催、web開催(LIVE配信+オンデマンド配信)を組み合わせたハイブリッド開催でした。それにも関わらず、現地には日本の眼科界を代表する先生方をはじめ数多くの方が参加されていました。
私自身の発表は学会最終日である16日(日)のお昼でしたので、発表を目前に中々落ち着かない状態でシンポジウムや特別講演、インストラクションコースなどを受けつつ発表日を迎えました。発表内容は、“超広角眼底撮影装置の機種間での網膜前膜診断率の比較”というもので、当院の外来診療で使用している超広角走査型レーザー検眼鏡(Optos®California)と、2018年にZEISS社から発売された走査型超広角眼底撮影装置(CLARUS®)で撮影された画像を比較し、網膜前膜の診断においてどちらが優れているかを比較検討したものでした。結論としては、3色のLEDレーザー光を用いているCLARUS®が優れており、眼科の検査機器の発展は本当に目覚ましいものでありました。併設機器展示会場では、眼科に関連する多くの企業が検査機器を持ち込み宣伝しており、中には手軽に自己検査できる視野検査機器や、中間透光体混濁があっても視力の出る半導体レーザーを用いた眼鏡などの製品もありました。眼科学会と医療機器の発展により、「今の常識」が「未来の非常識」になるのはもはや時間の問題だと強く感じました。公演でも最先端の近視治療や宇宙と眼圧の関係など、普段自分では中々取り組みづらい領域も勉強ができ、非常に実りのある学会参加となりました。また本学会において、名古屋市立大学の眼科教授である安川力教授のシンポジウム「抗VEGF薬療法の限界・問題点と対策」がありましたが、私自身の公演と時間帯が被ってしまっていたので、教授の公演に参加することは出来ませんでした。しかし、幸運なことに今回の学会にはコロナ流行以前にはなかったオンデマンド配信があるので、学会から帰ったあとに公演を拝聴させて頂き、改めて安川教授のAMD・抗VEGF薬治療に関する造詣の深さに感動し、また通常診療にも直結する内容で非常に勉強になりました。学会をWeb開催するようになったのはコロナ禍以降ですが、このようなハイブリッド開催は現地開催とWeb開催の各々のメリットがあるため、コロナ禍が収束しても継続して欲しいと思います。
最後になりますが、このような貴重な発表の機会を与えてくださった安川教授をはじめ、忙しい業務の中発表のご指導賜りました平野先生、会場まで足を運んでくださった先生方、および医局の諸先生方にこの場をお借りして、心よりお礼申し上げます。

2018年4月3日

学位審査を終えて

担当 富安胤太(大学院生)

平野先生のご指導のもと、臨床研究と基礎研究の両方に4年間取り組んできました。
臨床研究では、網膜静脈閉塞症(RVO)の病態解明を行いました。その成果として、『Microaneurysms cause refractory macular edema in branch retinal vein occlusion.』が2016年にScientific Reportsに掲載されました。この論文は網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)による視力低下の危険因子について検索し、黄斑浮腫の再発・遷延の原因に毛細血管瘤形成が大きく関与していることを示し、早期VEGF阻害療法の必要性や、改善を認めない場合の毛細血管瘤への直接凝固を行うことで、不必要な治療を軽減できるのではないかと考えられるという内容の論文です。この論文で学位を取得させていただきました。また、『Characteristics of Polypoidal Choroidal Vasculopathy Evaluated by Optical Coherence Tomography Angiography』が野崎先生のご指導のもと2016年にInvestigative ophthalmology and visual scienceに掲載されました。この論文はポリープ状脈絡膜血管症(PCV)の血管病変評価を光干渉断層血管撮影光干渉(OCTA)を用いて評価し、PCVの病態解明に有用であることが示した内容です。また、2015年9月に韓国・ソウルで行われましたKyungee Retinal Imaging Symposium (KRIS)、2016年12月タイ・バンコクで行われましたAsia-Pacific Vitreo-retina Society(APVRS)や2016年5月にアメリカ・シアトルで行われました、The Association f or Research in Vision and Ophthalmology(ARVO)、他にも多くの国内・国外での学会発表を行う機会を与えていただき、その場を通じて、研究領域の最新の研究成果を知れたことは非常に貴重で、研究へのモチベーションにもつながりました。また発表だけではなく、平野先生、小椋教授をはじめ、ご指導していただきました先生方のご指導の賜物です。誠にありがとうございます。

基礎研究では、実験的脈絡膜新生血管モデル、光傷害モデル、網膜静脈閉塞症モデルなどをマウスで作成し、それらの分子メカニズムの解明と新規治療法の開発を目指しています。研究では失敗の連続ですが、プロセスに誤りがないか、想定に間違いがないかなどをグループで検証し、前進しています。実験研究助手の方々の力強いサポートをもとに、グループ一丸となって力を注いでいる現状です。

 

 

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